化学プラントエンジニアの手帳

化学プラントエンジニアとして働く人に向け、知恵や教訓を「手帳」感覚で必要な情報を得られるブログを運営します。 主に現場作業業務や施工管理業務をまとめます。

【大原則!】段取り(事前準備)の重要性

今回は、施工管理・メンテナンス作業以外にも当てはまる仕事における大原則「段取り」の重要性についてです。

 

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段取り8割、作業2割

 仕事をされている方は、一度は耳にしたり目にしたりされているのではないでしょうか。この大原則は施工管理業務や、メンテナンス作業にとても当てはまります。これされできていれば、ほぼすべての業務において効率的に進めることができます。

 仕事の8割は段取り(事前準備)で決まります。段取りがうまくできていないと実作業がグダグダになり、良い成果を上げることができません。逆にしっかり段取りしておけば残りの作業は効率的に進みます。

 1つの仕事を依頼されたときにこの”段取り”をどれだけしっかりできるかで、その後の結果が大きくことなります。

  • 目的は何なのか
  • 実際の作業はいつ行うのか
  • 作業はどこで行うのか
  • 誰が作業するのか
  • どんな作業をするのか
  • どんな方法で作業するのか
  • 作業に必要なものは何か
  • それは購入する必要があるor既にあるものなのか
  • 納期はいつなのか
  • どこの業者に依頼するのか ……

 できるだけ細かく決めておき、先輩や上司、関係部署とも情報を共有しておくことが大切です。

 また、上記が固まったらもし仮に想定外のことが起きた場合”バッドケース”についても考えておく必要があります。実作業において、自分の思い描いているように進むことは私の経験上ありません。それは様々な要因があります。最終目標を達成するために、このような場合はこうする、これが不可能な場合はこうするしかない、など逃げ道をあらかじめ作っておくことは必要です。作業中に想定外のことが起きた時の対応が遅れる為です。ここで時間ロスが生まれると最終納期に間に合わなかったり、作業自体が中止になったり、大きな損失につながるリスクが比較的高いです。

 予備品を準備しておく、工程に余裕を持たせておく、過去の履歴から摩耗や消耗が進んでいそうなものから整備にあたるなど、前もって打てる手は打っておくことが重要です。

 しっかり準備して、より効率的により良い成果を上げられるようにまずは”段取り”を意識してみてください。最初からすべてうまくいくはずはありません。考えが及ばなかったときには、原因と対策を考え次の仕事へ活かすことができればそれで問題ありません。同じミスを繰り返さなければ、1歩前進となりますので着実に成長していくことができます。徐々に段取りの精度も向上し抜け、漏れなく仕事をこなせるようになるはずです。

 失敗から学ぶ。昨日の自分より成長する。繰り返せば自然と仕事ができるようになります。一歩一歩確実にレベルアップしていきましょう。

 

ご安全に!

 

【一目で丸わかり!】非破壊検査の種類と特徴

「プラント現場で配管の修理をしたけど、配管ルート的に気密試験ができない」

「機械からの漏洩箇所を特定したいけど、目視だとわからない」

「タンクを使用しているけど、あとどれくらい使えるのか肉厚の変化がみたい」

そんなときによく使用される”非破壊検査”ですが、今回はよく使用される非破壊検査の種類とその特徴を解説します。

 

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非破壊検査とは

 非破壊検査とは、浸透液・X線・超音波・磁気などの性質を利用し検査対象物を破壊することなく、欠陥や劣化状態を調査する試験のことです。

 機械や配管などの使用期間が終わり、廃棄するものは分断、破壊し内部や断面を観察することは可能です。しかし現在使用しているもの、もしくはこれからも使用を継続するものはそうもいきません。

 そんなとき、非破壊検査を実施し劣化状態を見たり内部欠陥がないか確かめたりして、検査対象物の継続使用可否、補修要否を判断します。

 

非破壊検査の種類

 主な非破壊検査の種類は次の通りです。

  1. 浸透探傷検査(PT検査)
  2. 磁粉探傷検査(MT検査)
  3. 超音波探傷検査(UT検査)
  4. 放射線透過検査(RT検査)
  5. その他(渦流探傷検査ET、アコースティック・エミッション試験AE、DR検査)

それぞれについて概要を説明します。

 

各種非破壊検査の特徴

浸透探傷検査(PT : Penetrant Testing)

 使用頻度が最も多いのがこの”浸透探傷検査”。いわゆるPTではないでしょうか。

 検査対象物の表面に開口している微小な割れ、孔、巣などの目視では確認できない微細な欠陥を見つけることができます。

 配管溶接後のチェックや漏れ箇所の特定等によく用いられます。また、金属以外にもプラスチックやガラス、セラミックなどにも使用でき適用範囲が広いです。

 検査方法
  1. 検査対象物の表面に染色浸透液を塗布し欠陥に浸透させる。
  2. 表面の余分な浸透液を除去する。(ウエス等でふき取る)
  3. 現像剤を塗布し欠陥に浸透した浸透液を吸い上げる。
  4. 現像剤によって吸い上げられた欠陥の形状を観察する。

 

磁粉探傷検査(MT : Magnetic particle Testing)

 球形タンクの内部欠陥を調べる方法としてMTがあります。

 検査対象物を磁化し、欠陥部に発生する磁極に磁粉(強磁性体の微粉末)が付着することで、検査対象物の表面近くにある欠陥の位置や形状を見つけることができます。

 磁粉を蛍光性にすることで紫外線照射によって見やすくする方法もあります。(僕はこの方法で検査を行いました)

 本検査は検査対象物が磁性体である必要があり、オーステナイト系ステンレス鋼などの非磁性体には適用することができないので注意が必要です。

検査原理

 金属材料を磁化すると、欠陥部磁気抵抗>健全部磁気抵抗 となるため、磁束は欠陥部で湾曲する。そして一部が漏洩し、磁束が漏洩したところは局部的な磁極が発生する。その周囲にある磁粉が磁極に吸い寄せられ欠陥の位置や形状を見つけることができる。

 

超音波探傷検査(UT : Ultrasonic Testing)

  検査対象物に超音波を入射し反射や散乱から欠陥の有無や形状を見つけるのが超音波探傷試験です。欠陥によって超音波は反射、散乱する性質を用いた手法です。

検査原理

 検査対象物に超音波パルスを入射すると、反射する位置でエコーとして表示される。検査対象物に欠陥がある場合、底面で反射したエコー位置と欠陥で反射したエコー位置が異なる。これにより深さ方向の位置を求め、欠陥位置を特定する。

 

放射線透過検査(RT : Radiographic Testing)

 放射線の持つ”物質を透過する性質”を使って検査対象物に照射し、透過後の放射線の強弱をフィルム上に濃淡の像で現し、欠陥の有無や形状を検査します。主にX線、γ(ガンマ)線が用いられます。特に溶接部の溶け込み不良、鋳物の巣などを見つけるときに使用されます。表面的に広がりのある欠陥や入射角度に直角な面にある微細欠陥の検出には不向きです。

 

その他

 渦流探傷検査ET

 アコースティック・エミッション試験AE

 DR検査  などがあります。

DR検査はRTと似ており、より現場向きです。検査原理はほぼ同じですが放射線の威力を弱めており、人体への影響が少なく検査箇所を囲ったりする必要がありません(ただし、一定距離を立ち入り禁止区画として人払いの必要があります)。リアルタイムで溶接部の欠陥を見つけられ、画像処理を施すことでより鮮明に欠陥を見つけることができます。専門の施工メーカーに依頼することで検査してもらえます。

 

 まとめ

  よく使用される非破壊検査を紹介しました。各現場でトラブルがあった際や定期検査をする際、非破壊検査の選定に役に立てば幸いです。また、新入社員への教育にも役立つと思います。

 

 

ご安全に!

 

 

参考文献:高圧ガス保安技術 甲種化学・機械講習テキスト

 

【ブログ説明】化学プラントエンジニアの手帳

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ここでは化学プラントエンジニアとして働く人に向け、私の経験を元にした知恵や教訓をまとめ、「手帳」感覚で必要な情報を得られる、そんなブログを目標に運営します。

 

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